今こそ「楽しく激しく一緒に頑張ろう!」

 2009年は、時代のうねりを感じさせる年となりそうです。米国初の黒人大統領の誕生もそのひとつです。オバマ大統領が就任演説の中で言う「危機のただ中にいることを理解して勇気を持って責任を果たす新しい時代の到来」は、米国民に限ったことではなく、われわれ日本国民にもあてはまるようにも思います。

  このような危機に直面した時代だからこそ、皆様にご紹介したい本があります。昨年末に出版された飯田史彦福島大学教授の「松下幸之助に学ぶ人生論」です。今まで松下幸之助に関する多くの書籍が出版されてきました。本書は今までのいわゆる「幸之助論」とは違い、「生きがい論」の切り口で経営学を研究されてきた飯田教授が松下幸之助氏になり代わって、氏の考え方(人生、天命、宇宙)をこの新しい時代に勇気を持って挑戦するために書かれたような本です。この様な本が2008年12月というこのタイミングで出版されたことも時代のうねりのひとつとして思えてなりません。私は、新しい時代の始まりに向けて「危機的状況にあるからこそブレイクスルーが発生する」と飯田教授が本書で報告する松下氏の次の発言をみなさんと共有したいと思います。「まったく不可能とかんがえられることでも実現できる。また夢想もしなかったことが現実の状態となってでてくるというように考えてみますと、お互いの経営という点につきましても、私はそういうことがいえると思うのです。・・・(中略)・・。きょう頭にないこともあした頭にうかんでくる、あした頭にないこともあさっては頭に浮かんでくる。常にそこに創造が生まれてくる、常にそこに叡智が生まれてくる。こういうようなことになろうかと思うのであります。そしてまた、そういう新しい創作と申しますか、考え方というものが、こういうような非常にむずかしい危局に際会して、さらに生まれてくるものだと思うのであります。・・・(中略)・・・。かつてないような経済危局に直面しましたが、これをさらにお互いがよく考えて断固として改革していこうということになりますと、今までにない進歩というものがそこに生まれてくるだろうと、私は思うのであります。かつてないような危局に直面したればこそ、かつてないような創意が生まれてくると、こういうようにかんがえるべきやないかというように考えております。(昭和32年 在京阪協力工場懇談会、松下幸之助(63歳))」

 私は、ご縁があって2007年11月にブラザー・スイスルーブ・ジャパン社に入社し、工作油業界と関係ができました。私たちの業界を取り巻く環境は、環境問題、金融大不況など大変厳しい状況です。しかし見方によれば、日本の製造業の底力をバックアップするこの業界で「100年に一度の危機」・「日本の製造業の危機」といわれるこの時代に関係できたことは非常に恵まれたことだともいえるのではないかと思います。表題の「楽しく激しく一緒に頑張ろう」は、私の社員に対するスローガンです。本書を読み返すうちに松下氏や飯田教授の考えと基本が同じであることを確信しました。またこの新しい時代に危機をチャンスとみなし、われわれの業界の発展のためにも有用と感じましたので、僭越とは思いましたが、ここに披露させていただきました。日本の製造業の発展を通して人類に貢献できるよう「今こそ楽しく激しく一緒に頑張ろう!」

ブラザー・スイスルーブ・ジャパン株式会社

代表取締役 日比 孝典